雪の残る北陸路。いつもより暖かい日に恵まれ、移動することができました。お世話になりました皆さまに感謝申しあげます。では、日程順に、まずK第一報をお届けします。写真等は改めてご紹介します。
■12月13日(木)
名古屋発23:15 高速バス金沢行き 北陸ドリーム名古屋号に乗車。
若い人たちを中心に、利用者が多いことを発見。
■12月14日(金)
朝7時過ぎ、金沢駅着。駅構内で朝食後、駅前の宿泊予約のホテルで荷物を預ける。
午前9時半「金沢海みらい図書館」着。開館まで図書館周辺を歩く。10時より館内で説明を受けた後、11時半まで快適な図書館で過ごす。金沢市の長期構想「世界に誇れるまち」実現のために整備されてきた図書館。その整備方針が「海みらい図書館」で明確な形になったことが理解できました。また、長年に渡り、専門職としての「司書」の、重要な役割の成果が蓄積されていること、もともとある文化の層の厚さが、図書館をどんどん進化させてきていることに、目を見張りました!沢山のヒントを頂きました。
午後1時「教育プラザ富樫」着。全体の施設の説明を受けた後、3時半過ぎまで、1号館から6号館まで、案内して頂きました。何と言ってもすごいのは、子どもを「教育」「福祉」の両面からサポートする万全の体制が整っていることです。1号館には適応指導教室、2号館には研修施設や教育情報支援室、3号館は乳幼児期の子育て広場や相談室、ファミリーサポートセンターは4号館。続く5号館には、こども総合相談センター(児童相談所)が設置されています!年間20万人近い利用者のうち、乳幼児子育て関係は12万人を占めています。また、ここでは教職員・保育職員研修が行われており、私立幼稚園にも開放されていて100人の参加があると聞きました。乳幼児期から、児童相談所機能まで、「こども」のために、手厚く予算化されている実態を目の当たりにして、私は言葉を失いました。子育て中のお父さんやお母さん、学校の先生方への応援体制が、ここまで整っていることで生まれる「安心」「安全」は間違いなく、「こども」の自信を強めることになっていると確信しました。ファシリティマネジメントの面からも興味が尽きません。プラザの建物は、元NTT社員研修所の改修。敷地面積約18,836u、延床面積12,328u。昭和30年代から40年代の建物を丁寧にリニューアルして活用されていました。耐震、耐用年数などを含めた、今後のプラザ施設の運営に注目しています。
午後4時過ぎ 「玉川こども図書館」を訪問。書架にあった「発達心理をベースとした絵本の研究」は、玉川こども図書館の司書の皆さんが中心の絵本研究会の報告書です。1冊頂くことができました。入口が3ヶ所ある、細長いこども図書館の奥では、防犯カメラが稼働中でした。司書の皆さんが常駐されている図書館のカメラの役割について、ちょっと考えるきっかけを頂きました。
午後5時からはお隣の「玉川図書館」へ移動。閉館7時まで滞在。今日訪問させて頂いた図書館3館のそれぞれが持つ特徴や歴史は、生きた建築設計資料として今に伝えられ、図書館文化への造詣を日常的に深めることができる「まちのしかけ」となっています!
また、「金沢子ども読書推進プラン21」では、「子ども読書のまち金沢をめざして」と、掲げられています。これは平成13年制定の「金沢子ども条例」(「子どもの幸せと健やかな成長を図るための社会の役割に関する条例」)をもとに策定されており、対象を0歳から15歳として、16歳〜18歳にも配慮とただし書きがあります。なんと「活きた配慮」でしょうか。「子ども文庫・読書関係団体」については「自発的、自主的な運営により、図書館や行政とは異なった多様な活動を子どもや保護者に提供しましょう」とあります!
コピーさせて頂いた「学校図書館司書配置」資料によれば、昨年、21名の司書の辞令交付式で市長自らが一人ひとりに辞令を手渡し、オール金沢で応援と、熱意を示されたとありました。こちらの動向にも目が離せません。司書教諭等の研修は、教育プラザ富樫で行われていることもまた、うらやましい限りです!
■12月15日(金)
金沢駅から富山県小杉駅へ。雪の残る小杉町内を1時間散策。駅前の「小杉展示館」(国登録有形文化財)は、旧小杉貯金銀行。明治期からなんと、昭和54年前銀行であったとは!今は戸破地域振興会の管理運営。地域住民の方の作品展などができる喜びを伺いながら、常設展示作品の貴重な説明を受けました。( 「鏝絵(こてえ)」「小杉焼」「郷倉和子」)
11時から小杉駅前「NPO法人子どもの権利支援センター ぱれっと」を訪問。ここでは子どもたちの居場所「ほっとスマイル」(射水市とNPO法人)の運営、富山県委託事業「家族再統合支援事業」の実施、要保護児童対策協議会参加等々、平成15年4月1日「小杉町子どもの権利に関する条例」制定を受けて始まった、子どもの権利支援、子育て支援などが、射水市に合併後も引続いて、行われています。
13時半からは、福祉会館へ移動。「とやま子ども権利条約ネット」のおさめ会に参加させて頂きました。去る11月24日と25日、子ども権利条約フォーラム2012inあいちで、権利について語るとやまの子どもの皆さんから強烈な印象を受け、是非とも年内に再会をと念じて、今日、実現したのです。2009年富山で開催された条約ネットから5年間の活動を振り返り、そこにあいちフォーラムを重ねて、発言が途切れることなく続きました。大人メンバーの皆さんの発言も、まさに、溶け込んでいる感じです。活動のエネルギーのもとは「無計画」に依拠することを、「とやま」体験を重ねることで、少しは実感できるのではと、これからが楽しみになりました。午後4時からは大人の会を傍聴させて頂きました。
自由な発言のために必要な「自由」な空気。今日、私が学んだ言葉は「リレーションシップ」。とやまの皆さんは「親と子のリレーションシップほくりく」の意味で使われていました。「子どもの権利条約フォーラム2009inとやま」後に、北陸三県の子どもに関わる団体が子どもの権利条約の理念のもとで、連携交流するため発足した集いで、年1回の大会を開催されています。
「小杉町子どもの権利条例」に始まった、こども&大人の関わりによって産み出される「力」。富山県内、北陸三県、全国を巡って、私の所にも届いたのです。「子ども条例を持つまちの子どもと大人のリレーションシップ」作りに関する貴重な資料を頂いたり、お借りできましたので、小杉から、次の宿泊地、鶴来に向けた電車の中で、資料読みに没頭しました。
12月16日(日)雪山に囲まれた鶴来の町を移動。
白山市立鶴来図書館を訪問。日曜日の10時。すでに図書館は賑わっていました。100時半のお話し会が始まる頃には、100名の親子の皆さんでいっぱいです。わらべうた、絵本、お話し、手づくり工作と、12時まで一緒に参加させて頂きました。こうしたクリスマスお話し会がボランティアと職員の皆さんの協働で行われていること、また、県内のボランティアグループの皆さんのネットワークの底力を実感しました。常日頃からの交流や研修の賜物であることを。
お話し会の講師の方やボランティアさんと昼食を頂きながら、6年前に視察させて頂いた白山市立松任図書館や学校図書館の司書配置などについて、新しい情報も頂きました。県単位の図書館ボランティアネットワークが機能していることによる力強さを改めて思いました。1070年代、私が岐阜で家庭文庫野活動を始めた頃、名古屋の図書館司書の皆さんのお誘いで、研修の機会を頂いたことを懐かしく思い出しました。
金沢を3時48分に出発。米原で乗り換え豊橋まで、頂いた資料を、読みながら、あっという間の3時間でした。お天気に恵まれ、多くの先達の皆さんのお話を聞く機会を頂きことができた北陸視察。
写真とともに、「てーぶる48号」でもご紹介を続けさせて頂き、もう一度、北陸視察を振り返りことにします。
このたびは、ようこそ富山・小杉にお越しくださいました!
渡辺さんの柔らかく優しい笑顔にお目にかかっり、心温まる時間を過ごさせていただいたので、お別れの際に「またお目にかかりましょう」と思わず声をおかけしてしまいました。
本当に遠路、ありがとうございました。
今回は、ほっとスマイルのクリスマスパーティにも参加いただいて、不登校の子ども達のとまり木としての「居場所」の、自然なしなやかさを感じていただけたのではないかな、と勝手に思っていますが、いかがでしたでしょうか。
コラムの文中、私たちのNPOをご紹介いただき重ねてありがとうございます。ただ、NPO法人は公設民営ではなくあくまで民間の法人で、子どもの居場所「射水市子どもの権利支援せんたー(愛称:ほっとスマイル)」が射水市(合併前小杉町)と私たち法人とが公設民営のスタイルで運営している場所、ということですので、ご理解くださいね。
名前が良く似ているので、間違われやすく、いつも皆様にご迷惑をおかけしています。
富山はこれから、本格的な雪国になりますが^^;、雪の風情とおいしいお魚を楽しみに、またすぐにでもお越しください。
今度は、渡辺さんの願いや思いを、是非聴かせていただき、一緒にこれからの子どもたちとの時間を見つめさせていただければと願っております。